10.07.2015

犬は犬から学ぶ、と期待しすぎてはいけないレトリーブ・クラス

水曜レトリーブクラスの前に、ちょっと用事で呼ばれてジョンの家へ。PCを前にああだこうだとやっていたらご来客。今日からホームステイだというシンバと飼い主さんがやってきた。シンバはイングリッシュ・ブル・マスティフで、50kg以上ありそうなビッグ・ボディの温和なジェントルマンだ。

外でしか会ったことがなかったけど、家の中だとやっぱりデカイ! どうかなーと思ったけれど、とにかく堂々と落ち着いているし、静かに犬を無視してくれるので、やや及び腰だったキャスカも上手に挨拶を交わすことができて嬉しかった。



飼い主さんが散歩中に見たという、ちょっと変わったレトリーバーについておしゃべり。赤毛でねー、名前のどこかに「トール」が入るの。でも名前が長くて覚えられないのよとおっしゃるのでピーンときた。「ノバスコシア・ダック・トーリング・レトリーバー」だわ。通称、トラー。

via Wikipedia


"本種は「トーリング」と名につく通り、デコイ猟というちょっと変わった狩猟に使われていた。デコイ猟は主人と犬がペアとなって行い、カモなどの水鳥の狩猟によく用いられていた。
本種流のデコイ猟の方法は、まず犬の主人がカモのいる方へ木の棒を投げ、本種にデコイ狩の開始を知らせる事から始まる。本種は棒の投げられた方向に向かって走り、カモを一瞬だけ警戒させる。然し、その後は気を違えたようにあたりをはしゃぎまわったり、ごろごろと寝転がったり、カモのいる所とは逆の方に向かって飛び上がったりと、予測の出来ない行動をとり続ける。
吠え声は全く立てず、この光景に次第にカモは気を引かれて警戒心を解いてゆくのである。そして安心しきって本種に完全に 気を取られている隙に、カモを犬の主人が銃で撃って仕留め、これを本種が回収して主人のもとへ持って来る、というのがその全容である。"


カナダ原産、デコイ猟といって犬がデコイ(おとり)となって鴨の注意をひきつけ、その間にハンターが鴨を撃つユニークな猟芸を持つ。つい先日、うちの近所でも見かけたばかりだったのでイギリスには意外といるのかな?と思ったけれど、ケンネルクラブの登録数を参考までに確認してみたら、昨年度は209頭(※)とやはり珍しい犬のようだった。

良くも悪くも、もともとの仕事柄のため、人をびっくりさせるような予測不可能な行動を起こすことも ある。」と、Wikiの特徴欄にあり思わず笑ってしまった。どういう予測不可能な行動が!? すごいDNAだな~。

みんなで犬図鑑を見てワイワイと。フラット・コーテッド、カーリー・コーテッド、チェサピーク・ベイ...と2単語ならスルスルっと言えるけど、3単語だとほんと覚えにくい。ノバ、で切ったら4単語じゃないか。


クラスに少し遅刻してしまったため、軽くガス抜き → チューニング(いくつかオビのセットをやったりオヤツハントをしたり、テンションをコントロールして意識を整え、学校モードにもっていく)のルーティンができなかった。キャスカごめんよーと思いながらラインについたら、一投目はやっぱりダメダメでダミーに無関心。

このまま続けてもモードは切り替わらないな...と判断。トレーナーにことわってから、みんなのジャマにならないようフィールドのすみっこでチューニング。再度戻ってからは、いつになくばっちりと作業してくれた。

万年パピーレベルであっても、私がなぜずっとキャスカとこのクラスに参加しているのか、それを理解してくれているトレーナーに感謝。状態に応じて、ステディネスは無視することも(他の本職犬たちは、そんなのNG)。投擲から即座に送り出してOKよ!と言ってくれたり、たくさん動かしてモチベーションをキープしたり。

カーラちゃんが、ルンルン取りにいくよ

ちなみに、犬は犬から学ぶと言って先輩犬がレトリーブをやるのを見て自然にやるようになる...犬ってやっぱりすごいぜ、なーんて経験談も目にするが(← 社会的学習)、犬はそれぞれ違うので過度に期待してはいけません。

レトリーブにおいてそれが成立するには「運搬欲(or 遊び欲)」「人とのコンタクト欲」の2因子がもともと高いという前提条件が、たぶん必要。ここで言うコンタクト欲とは、アタシも人と遊びたい~褒められたい~あの子ばっかりいいな~という犬のココロ。

おー、一直線にダミーゲット

運搬欲は言わずもがなで、褒められたりイイコイイコされたりすることにも、興味が薄いうちのブチ子さん。そもそも見ちゃおらんので、学ぶもなにもないのである。

うしろで犬が走り回っていても、コマンド・ホイッスルが鳴っていても、マイペースに林を見つめるリラックスぶり。ポジティブ・シンキングを旨としているため、落ち着いていてエライね~ってこととする。うちの夫いわく、褒められハードルが限りなく低い犬。かくいう夫本人も、シッポをふってお出迎えするだけで「かわいいのう~お利口だのう~」と溺愛する始末(← なつくまでにかなり時間がかかったため)。

カーラちゃんが、ルンルン戻ってきたよ


いうなれば、とりあえず自分の席にちゃんと座っているだけでよくできました!と褒められる子どもと共通するものがある。

自分がかつて褒められるのが嬉しくて、せっせとお勉強しては授業でも張り切って挙手しちゃう感じの、今から思えばあざとい感じさえする子どもだったことを思うと、キャスカのこの「我が道をいく」一徹ぶりは、すがすがしくも愛らしいのであった。


(※)2014年度のガンドッグ・トータル新規登録数が85,909頭、うち、もっとも頭数の多いラブラドールが34,715頭。イングリッシュ・セター(たぶんほとんどベンチ)は332頭で引き続きウォッチ・リスト(イギリス原産犬種で、頭数が少なくなり過ぎて絶滅が深刻に危惧される25種からは外れたが、いまだに一歩手前の意)に載っている。ブル・マスティフも599頭で、けっこう少なかった。


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4 件のコメント:

  1. デコイ猟、初めて知ったわ!
    こんなに面白い猟芸があるなんて、実際に見たら感心するより笑っちゃいそうだけど。

    クラスでのキャスカちゃんの様子、「そうそう、そうなのよ~~~~!」ということばかり。
    ベンチのサラもレトリーブクラスにちょっと入っていたことあったけど、他の犬のやることなんて全く興味なしだったもの。
    それにどんなに褒めても「それが?」って感じ(笑)
    しまいに待っている間にスヤスヤ寝ちゃったりして。

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    1. コロママさん、コメントありがとうございます☆

      デコイ猟、おもしろいですよね。同じガンドッグと言っても、なんというバリエーションの広さよ~と、笑って...もとい、感心します。近所で見かけたトラーは、遠目だと赤毛のボーダーコリーのような見かけで、でもとってもアクティブでした!

      ベンチさんはオヤツも褒められるのも、フィールドに比べたら欲があるのかな~と思っていましたが、サラちゃん、寝落ちとはすごい!(爆)

      アホのように褒めちぎって!とか指導されることも多いですが、褒めてるそばから「アハハ~」っていう顔で「じゃあね~っ!」と走り去って行こうとするキャスカにズッコケる飼い主。そんな、漫画のようなやりとりも大好きな私です。今日のクラスでは、待っている間に羽虫をパックンやっておりました。

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  2. 同じフィールドセターでも、こんなに違うんだな、
    と笑って読み進めました。
    キャスカちゃん…ぷぷっ(笑)
    もなかは、他の犬が楽しそうに海に入るのを見て、
    自分も入ってみる♪と初泳ぎ。(昨年の春)
    ふだんは、私のところにボールは持ってこないのに、
    他の犬が私とボール遊びしてると、私のところに持ってくる。
    誉められると、嬉しくって、スキップして回る。
    ここは、キャスカちゃんとは全然違うんですね。

    でも、主人にこのブログを見せたら、
    旦那様にしっぽを振って迎えるだけで誉められるところを読んで、笑ってました。
    うちも同じなんです(笑)
    なつかなかったから、2回に1回くらいお迎えやお見送りに行くと、
    もなかはほんとに可愛いね~♪
    と喜んでいます。
    ちなみに私のお迎えの時は、毎回喜びのダンスを踊ります(*^^*)

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    1. もなかママさん、コメントありがとうございます☆

      ほんとにそれぞれ違いますねえ。同じセターでも、レトリバーでも、犬種特性とそれぞれの気質のコンビネーションでみーんな違うのがおもしろいです。単純に遊んでいるだけでもその違いがわかることもあるけれど、グループ・トレーニングをしているとより一層それぞれが際立ってきて、楽しいんですよ。

      お話を聞いているだけだから断言はできないけれど、もなかちゃんは例の2因子がもともととても高い子という印象。キャスカはゆっくりそのへんを育ててて、少しずつ幅が出てきたかな。なんつって、私が他の犬と遊んでいようものならこれ幸いとばかりにかっ飛んでいくので、うかうかと遊べません。背中に目が欲しいのは、私の方だったりして。

      ご主人のお気持ち、わかるわあ。うちもほんとに安心できるようになるまで1年以上かかったので、現在の溺愛ぶりがハンパないです(笑) 夫の犬対応力がアップしたのと、キャスカの人馴れが進んだのとの相乗効果ですが、よかったよかった♪ 仲良きことは、美しきかなーですね。

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