胃袋だけホームシック

例年になくあたたかく、雨の少ないドライな9月だったそうだが、10月にはいってぐんと寒くなってきた。最低気温はもう10度を切って、晴れて曇って雨が降ってまた晴れて．．．と空模様がめまぐるしい。これが通常のロンドンの秋らしい。

今日は夫の誕生日で、朝からさわやかに「おめでとう！」と声をかけたものの、曇天のようなテンションで暗いことこのうえない。大台40にのったのがよほどイヤらしい。 「おめでたくないもん」と呟いてため息ばかりついている。乙女じゃあるまいし、やれやれ。

何頭か見送っていると、犬の一年は重みがあるから嬉しくもさみしい気持ちになるけれど、人間でまだこの年だと「一年間、元気に過ごせて年を重ねてよかったねえ」というくらいなのだが。私は。

お昼過ぎまでイジイジとしているので、元気のないときはお肉よね！と近所のパブへお昼を食べに行った。

ずっと地元の人に愛されている感じの居心地の良いパブで、1階のバーエリアにはおじいちゃんおばあちゃんもたくさんいて、日曜午後の1杯を楽しんでいた。

食べ終わる頃にダイニングエリアに一人でやってきたおじいちゃんは、ツイードのジャケットをピシリと着て片手に新聞。常連さんらしく、メニューも見ずに注文。こちらに来てから粋な老人を見ることが多くて嬉しい（そしてよく食べ、よく飲む）。

ステーキとギネスで夫の元気は回復。どのお店に行ってもたいがい茹ですぎの感のある付け合せのグリーンピースがちゃんとした茹で加減だったので、私もささやかな幸せを味わう。

40歳の目標は？と訊いたら、青帯取得（夫はここ2年ほど柔術をやっている）だって。お肉を食べて、がんばろう。

階段の木彫りのキツネが、 直立歩行時のセターのシルエットに似ていたのでパチリ。

銅製の犬のドアストップとか、馬のヘッドのブックエンドとか、たぶんハンティングのモチーフがらみで動物のデコレーションがパブには多くて、「これいいなあ」というアイテムを見つけるのも楽しみのひとつ。


お肉を食べすぎて胃が重くなり、夕飯はニシン蕎麦。胃袋だけはホームシックかもしれない。平和な日曜だった。




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